ピアノトリオが聴きたいって? まあちょっと待て
偉大なバンドリーダー、作曲家として、多くのリスナーにとっては、いつか買えばいいなんとなく遠くにある存在だと思われる、Duke Ellingtonの作品、名盤ガイドに必ずといっていいほどに出るのは以前にも登場させた
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The Popular/Duke Ellington
であろう。(それにしてもポマードの匂いがプンプンと漂いそうな濃ゆーい写真だ・・・)
まあ、代表的なレパートリーが収録されているし、演奏やアレンジの内容がすばらしいので、最初の一枚としてこれを紹介するのはしょうがないとも思うのだが、ハードバップや60年代のジャズを中心に聴いていて急にこれを聴くと、いわゆるモダンジャズとは異なる「古いスタイル」についていけなくて、どこがイイのかさっぱりわからずに神棚行き(笑)となってしまう可能性が高い。
じゃあ、どのアルバムから入ればいい?
エリントンを楽しめるようになるには直接そのものを聴く前に、ミンガスの作品を経由したらいいのではないかと思う。
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Mingus, Mingus, Mingus, Mingus, Mingus/Charles Mingus大事なことなので5回言いました(違)このアルバムのIX LoveはDuke's Choiceという名で演奏されていた曲、他にMood Indigoもやっているしエリントンサウンドの芳香性(笑 方向性だってば)をビッグバンドよりも少ない人数で表現しようとしていて、黒くて粘っこいソロを取るフロントラインとミンガスの凝った作編曲に基づくアンサンブルがなんとも味わい深い。
この作品を十分に楽しめるのなら、エリントンのビッグバンドの作品もすんなりと耳に馴染んでくるようになると思う。
いや、そんな話なんてどうでもいい、ピアノトリオが聴きたいって? じゃあこれでどうだ
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Money Jungle/Duke Ellington
デューク エリントンとチャールス ミンガスにマックス ローチという強力なメンバーによるピアノトリオ盤、この時のエリントンの年齢は63歳とのこと、実年齢ってのは全く関係ないことがハッキリわかるもの凄く力強いピアノタッチ。
ま、それだけではなくてスローなナンバーではとっても美しいメロディも弾きこなす、エリントンという人はピアノの腕も超一級品なのだ。ビッグバンドの作品とはかなりかけ離れた雰囲気ではあるけれど、モダンでこの当時の最先端とも言える刺激的な演奏ではないか?
ちなみにこのセッションが行われたのが1962年9月17日、その9日後の1962年9月26日には
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Duke Ellington And John Coltrane
の吹き込みがあり、Money Jungleの当初は未発表ナンバーだったRem Bluesのフレーズがこの作品のThe Feeling Of Jazzで引用されているのが興味深い。
コルトレーンという一級品のソロイストを引き立てるピアノは、より音の数を少なく、場合によっては無音で空間を作り上げる。このアルバムはコルトレーンのリーダー作ではなく、明らかにエリントンのリーダー作。評論家による入門ガイドなんかのせいで意味も無く人気作となってしまっている、かったるくて甘ったるい(酷)コルトレーンの
Ballads
と同列で語ることなかれ。
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